オシムの言葉

やっと読むことができました。印象に残っているのが、この言葉。

ー監督は眼も覆いたくなるような悲惨な隣人殺しの戦争(ユーゴの内戦)を、艱難辛苦を乗り越えた。試合中に何が起こっても動じない精神、あるいは外国での指導に必要な他文化に対する許容力の高さをそこで改めて得られたのではないだろうか。
「確かに、そういう所から影響を受けたかもしれないが・・・ただ、言葉にする時は影響は受けていないと言ったほうがいいだろう。」
オシムは静かな口調で否定する。
「そういうものから学べたとするのなら、それが必要なものになってしまう。そういう戦争が・・・」

この本の中には、オシムと対照的に、戦争を経た後も(だからこそ)他民族を憎み口汚く罵るという大学教授がでてくる。本当に、オシムは、サッカーについてだけでなく、人間というものについて、考えさせてくれる。
オシムのように、他者や他文化にたいして寛容な人間になりたいものだ、不幸な戦争を経験しなくても。