シメオネ:「さよならじゃない、また今度!」

リーガ第16節アトレティコ・マドリッドデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦、1対0でアトレティコが勝利したが、この試合アトレティコサポーターにとって勝利と同じくらい、もしくは勝利以上の出来事があった。そう、シメオネの退団である。
1987年9月13日ベレス・サ―スフィールドでデビューしてから17年6チームを渡り歩き477試合に出場してきたシメオネアトレティコ・マドリッドでは5年間127試合に出場。どちらの数字も全体の半分にもいかず、とりわけ多いというものではないが、アトレティコサポーターにとっては1996年にリーガと国王杯を獲得した立役者の一人で、忘れる事の出来ない記録ではなく記憶に残る選手だった。
「今のアトレティコのアイドルはフェルナンド・トーレスだけど2冠を獲得した時のアイドルはパンティッチや今日サヨナラをしたシメオネだった。今回の決断はサポーターとしては残念だけどこれでお別れというわけじゃない。彼の家はここだから扉はいつでも開いてるよ。きっと近いうちに帰ってくるさ。」とカルデロンに来たサポーターは語ってくれた。
その言葉の通り、この試合ビセンテカルデロンには“カルデロンはチョロ(シメオネのあだ名)、君を愛している”“ありがとうチョロ、決して忘れない”や“今まで与えてくれたものを返すよ”といったシメオネに対する愛情が込められた横断幕が張られ、試合が始まってもテレビはシメオネを映し続け、サポーターは“オレ、オレ、オレ!! チョロ、シメオネ!!”と彼がクラブから記念のバッジを受け取りロッカールームに姿を消すまで歌いつづけた。
この試合をVIP席で観戦するシメオネの姿が映し出されていたがどこか淋しげな顔つきであった。試合当日のスペイン紙のインタビューにシメオネは「プレーがしたい。そのためにアトレティコを離れるといったサッカー選手としてとった決断に間違いはないと確信している。サポーターが自分に愛情をいつも注いでくれていた事が本当に嬉しかった。この決断をしてからも彼らは想像も出来ないほどの愛情を見せてくれた。だから涙を見せないようにするのが難しい。けどこれだけの愛情を注いでくれたサポーターに最後の別れを告げるのが自分のけじめだ。」とプロ選手としての決断、サポーターの愛情についてコメントを残した。
子供の時からのチーム、ラシン・デ・アベジャネーダに移籍しサッカー選手のキャリアをおえる事を決めたシメオネ。もう彼のプレーはリーガでは見ることは出来ない。だがクラブ、サポーター、シメオネ自身が口にしているように、今回シメオネアトレティコを離れる事はアディオス(さよなら)ではなくアスタ・ルエゴ(またね)だ。そう、いつの日か監督として帰ってくる日までの。(@WOWOW

シメオネ監督のチームって、いいなぁ。えげつなさそうで。