アレキサンダー

端的に言って、アレキサンダーは人類の融和への挑戦という人類に対して最高の贈り物をしてくれたが、オリバーストーンは、この映画で、3時間の徒労というものを我々にプレゼントしてくれた。
アレキサンダーは好きな英雄であり、歴史物語として好きな話でもある。だから、この映画を、とても楽しみにしていたんだが、正直ガッカリだ。
アレキサンダーにまつわる、有名なエピソードだけを映像化したが、それに対する構成が下手なので話として盛り上がらない。エピソードの一つ一つの映像とかは、凄いと思わせるものもあるだけにもったいない。特に、バビロンの空中庭園とかは、十分金が取れる出来なのにね。
アレキサンダー自体、矛盾の人であったが、それをそのまま映画にしてしまった。なぜ、そうなるかというと、史観がないからだと思う。オリバー・ストーンは、プラトーンやJFKで、余りにも偏った映画を作ったと非難された。だが、映画として成功したし、観客はその映画を支持した。確かに偏った史観は、真実を見るときに邪魔になる。だが、客が見たいのは、歴史学ではなく、歴史物語なのだ。だから、少々偏っていても、映画として面白ければ問題ないのだ。問題なのは、その偏った史観を、そのまま疑問も持たずに受け取ってしまうことなのだ(この辺は、マイケル・ムーア映画もそう)。
で、この映画アレキサンダーには、その史観というものが欠けているために、ただのエピソードの集合体になってしまった。歴史物語映画ではなく、受験歴史映画。
ついでに、主役のコリンファレル。
金髪に黒眉毛、黒ひげという、ケンというかネドベドというか、ああいう感じなんです。人種の融合というものの象徴としてそうしたのかもしれませんが、なんか、やっぱりダメなような。彼は、今度の007のジェームス・ボンド役の候補にあがっているみたいですが、この映画でそれは無くなったに、賭けておきます。