ターミナル

プライベートライアン以降のスピルバーグは、よく言えば、肩の力を抜いてやっている感じがする。役者の良さを活かそうとしているのだ。昔は、素材にゴチャゴチャ手をいれて、料理人の腕を見せつけようとしていたけど、今は、素材(役者)を主役にしている。
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大作ではないが、十分に楽しめる佳作が多い。
今回のターミナルは、トム・ハンクスという素材を十分に活かした作品になっている。トム・ハンクスのよさは、めぐり逢えたら、フォレスト・ガンプで発揮された、ちょっと間抜けだけどピュアで、だからこそ人をひきつけていくという役だろう。ターミナルでは、ビクターという田舎者を見事に演じている。それにプラスして、人情物+コメディという、スピルバーグが最も得意とするジャンルでもあり、テンポよく、そして非常に気持ちいい気分で話を楽しめる。
残念なのが、ラストかな。
それまで盛り上げといて、これで終わりかい!と、ツッコミたくなってしまった。中盤までは、非常にいいのに、もったいない。
トム・ハンクス好き(僕も好き)なら、観たほうがいいと思います。この人、やっぱり上手いわ。
単純なことだけど、同じ映画の中でも、トム・ハンクス演じるビクターが、ターミナルで居場所を見つけていく中で、歩き方から何からが、変わっていくんだよね。最近、邦画を見ていて、軍人なのに、だらしない歩き方をしている役者を観てしまって、ダメだなあと思っただけに、余計、上手いなと思った。