トシちゃん

スーパー写真塾の男の書評(by吉田豪)の、田原俊彦「とびっきり危険」の書評が面白かったので紹介。

「それほど長くない中ランに、3本タック、ハイウエスとの幅広ズボンに白いエナメルのベルト。靴だって白エナメル」
「マジに授業を受けているヤツ見ると、それこそヘド出そうだった」
だった、高校時代。
「一発大逆転のホームランとして芸能界に入ってみよう」
「ボクはテレビを見る人間じゃない。テレビの画面に映る人間なんだ」
と、考えたのである。
「アイドルでもなかったら天下は絶対取れない。ゼッタイ、ボクは天下を取る。田原俊彦というアイドルがいなかったらテレビも映画も、そしてこれからが楽しみなミュージカルもできないといわれるまで、やってやる。」
すると、順調に成り上がり
「ニューヨークも最初行ったときは、でかすぎて怖いくらいだった。『なんだこれは!』って感じだった。正直いって。それが6回目ぐらいになると、だんだん自分のものになってくるから不思議」
と言い出すようになるから、さすがトシちゃん。
「いまじゃ『どうしてこの街はオレに反応しないんだ。アッタマにくるよ』って思うようになったもんね。それこそ『ボク』なんていっていられない。『田原俊彦だぜ、オレは!』ってときどき大声を出したくなっちゃう。そういう意味でいえば、ボクもビッグになったもんだ。」
(略)
しかし、なぜ彼はこうまでギラギラすまくっていたのか。それには、
「オヤジはボクが6歳のとき、この世を去った」
「オヤジが死んだその日から家は貧しくなった」
「お金がないからバカにされる。父親がいないから泥棒扱いされる。(略)ボクは永遠にトップアイドルでなけりゃダメだ、この世界で勝つほかないと思っているのも、そんなことが理由のひとつなんだ」

最高だ!トシちゃん。
彼をキャシャーン役にしようと考えた、ウタダンナのセンスは断じて正しい。
いつか、トシちゃん主役の完全版キャシャーンを楽しみにしているよ。