清原 火バチを撤去せい!(by東スポ)

この日の巨人は何やらひと味違っていた。いつもなら2点を先行された時点であきらめムードが
漂うのに、6回に5本の集申打を浴びせ逆転に成功。4番・清原が最終回にダメ押し犠飛を放てば、中継ぎリレーも珍しくピタリと決まる。理想的な逆転勝利に堀内監督も「こういう試合を続けれぱすぐに取り戻せる」とニコニコ顔で語った。そんな堀内監督の知らないところで勝利に貢献したのが清原だ。
ナインは宿舎を出発前に緊急ミーティングを開さ士気を高め、打倒・阪神を誓った。ところが、球場入りした途端、そんな誓いなど、どこかに忘れたようにコーチも選手も「寒い!寒い!」を連発し、ベンチの奥に設置されていた火バチを囲んで暖を取っていた。確かに、この日は4月とは思えないほどの冷え込みで、試合開始前の気温は9度しかなかった。しかし、そんな気の抜けたコーチや選手の姿が気に入らなかったのだろう。突如、清原が球場関係者に、この火バチの撤去を命じたのだ。
一方、清原指令で火バチが消えたことを知らないコーチや選手らが「何でだ!寒いだろ!早く火をおこせ」と球場関係者に詰め寄り、関係者がもう一度、火をおこそうとベンチに向かいかけた時だった。
ロッカールームからTシャツ、短パン姿で歯ブラシを口にくわえ清原がノシノシとベンチ裏に現れ「(火バチが)暑いんや!試合に集中できんやろ!消せ!」と、口の周りについた歯磨きのアワをまき散らしながら鬼の形相で叫んだのだ。その場にいたコーチや選手はあまりの迫力に凍りついた。
あるコーチは「清原は暑かったんだろうけど、みんなは寒いわけだし・・」と表情を曇らせながらも
「でもチームの4番が言うことだから。低迷してるチームに清原が活を入れたと思えばいい」。選手も「寒いけど何も言えません。キヨさんが暑いなら仕方ない。気温に関係なく試台に勝たないとダメですから」と気合を入れ直した。試台中、腕まくりをしている選手がいる阪神ベンチ
に対し、巨人のほうは監督、コーチ、選手はジャンパーを着込み手袋までしていたが、勝利に対する執念はフツフツと煮えたぎっていた。