ナベツネとの妄想ディベート 続き

ナベツネ:MLBのコミッショナーの権力は、日本に比べ絶大なものがあるとの話もウソである。一九九二年、ときのコミッショーナー、フェイ・ビンセントは、エクスパンションに伴う球団
の地区偏在の是正措置として、シカゴ・カブスを中地区から西地区に移そうとして、オーナーたちの反乱を受けた。その結呆、オーナ会議で十八対九(棄権一)でコミッショナー不信任案を可決されてしまった。
その後、六年間にわたりMLBコミッショナー不在となり、現在のセリグコミッショナーが九二年から九八年までコミッショナー代行となった。正式にコミッショナーに就任できたのは、一九九八年七月になってからだ。セリグ氏は、元ミルウォーキー.ブリュワーズ球団のオーナーであった。
セリグ氏は代行時代、ストによる人気低落の挽回策として、交流試合やニリーグの各三地区制によるプレイオフを導入した。その後は球団削減に取り組み、選手会や政界を含む各方面からの反対運動に苦しんでいるが、その任期は二〇〇六年まで三年延長されることが、オーナー会議の全会一致で可決されている。それは、球団削減案等で政界、選手会のバッシングを受けたセリグ氏を、オーナー会議が堅く守ろうという意思の表明だ。
さらに去る八月のオーナー会議で二〇〇九年まで延長されたが、これはMLB念願のスーパー・ワールドカップ実現のためと思われる。一方、ナ・リーグ会長が一九九九年に、ア・リーグ会長も翌年初めに辞任して、後任が選任されず、両リーグは形式的存在となり、運営上、大リーグ機構直轄として統合されてしまった。

牛太郎:確かに言われているほど、MLBのコミッショナーの権力はないと思います。
実際、球団削減も批判され、また、ストを止められなかったこともしかりです。
しかし、運営力という面ではどうでしょうか?MLB全体でみれば、まだまだ赤字ですが、あなたも言われているように、交流戦やプレイオフの導入、そしてワールドカップなどの世界戦略など、少しでも儲ける組織を目指していて、その中心にコミッショナーがいます。「権力が無い」と、いつも言っているコミッショナーと、全然違うと思いませんか?少なくとも、最低限の責任感を持ったコミッショナーを、選ぶべきではないでしょうか。
ナ・アリーグ会長の件については、むしろ、いい事だと思ってます。ナとアで争うような時代ではないですから。日本も、セやパのチンケな争いをなくして、コミッショナー直轄でいいと思います。それなら、もう少し、権力をコミッショナーに与えないと駄目ですね。

ナベツネ:最近のMLBの球団買収者は、企業より個人が増加し、それも不動産投資業、コンピューター・ソフト業、高速道路沿線の広告看板業、美術商などと多彩な成金経営者達であるが、球団売買が投機的になっていることは否めない。
三十球団共存共栄のためとして発案された「収益分配制度」は各球団が収益の三四%をMLBに供出して、三十球団に均等再配分したり、全国放映権料の一部を再配分したりするものである。こうした収益の再分配によって、MLBの弱小球団は大都市の富裕球団から、今年三億ドルをもらえるこ
とになっている。このような社会主義的再分配によっても、なおMLBの財務健全化は果たせず、球団売買ドラマはさらに続くであろう。MLBの体力の衰弱した球団を狙って、ハゲタカは舞っている。

牛太郎:まず、MLB以上に、球団の均等化にうるさい、NBAやNFLでは、組織として黒字になっています。つまり、戦力均等化政策が、MLBの問題ではないのではないでしょうか。
あなたの、ご意見に対して、全て思うのが、MLBを貶めたところで、どうしたいのかわからないのですよ。
安易なMLB礼賛は、私もするべきではないと思う。だが、逆に、あなたのように、MLBの悪いところばかり、目をつけてもしょうがないのですよ。こらからのNPBは、MLBでも、NFLでも、Jリーグでも、いろいろな組織のいい部分を、熱心に学んで取り入れていかなければ、
ならないのではないでしょうか。
また、MLBの球団の投機化ですが、それのどこが悪いのでしょうか?一般のファンは、運営者が変わろうと、チーム名やホーム球場が変わらなければ問題はないのですよ。
日本のように、チーム名やホーム球場が、ファンの同意もえずに安易に変わってしまう方が問題なのではないでしょうか。また、MLBのチームには投機に値するだけの価値があるということです。果たして、日本の球団に、そこまでの価値があるのでしょうか?

ナベツネMLBを礼賛する評論家は多いが、MLBでは、この完全ウェーバーが必ずしも戦力均衡に結びついていないのが現状だ。
MLBドラフトでは代理人が介在した高額契約の事前交渉が行われて、予算に限度がある球団は、有力選手の指名を見送っている。二〇〇四年ドラフトで、大学選手として最有カとされた投手について、全体一位指名権を持つパドレスが指名を断念し、全体十二位でようやくエンゼルスが指名した実例がある。

そうですね。完全ウェーバーが、全てではないと思います。
だが、なぜ、MLBでも、そのような問題がおこるのでしょうか。私は、MLBの問題は強すぎる選手会と、球団格差が大きいことにあると思います。球団格差が大きいから、あなたがあげたようなことがおこると思います。
今、日本で完全ウェーバー制を導入しても、同じ問題がおこるでしょう。
だからこそ、球団格差、リーグ格差をなくしていくべきだと考えますし、そのためには、あなたの嫌いな社会主義的な政策をすすめていくしかないと思いますがね。