選手会が頑張っているのはわかる。だが、戦うなら勝つためにやってほしいと、僕は思ってしまう。前に書いたとおり、選手会がだした方針は、オーナー達と戦いますよと言っているくせに、結局、その作戦もなにもないという、大本営発表みたいなもん。もちろん、高額年俸是正という、ファンの支持を得るようにしている、宣伝活動資料だから、それに突っ込むのは、”今は”大人気ないのはわかるけどね。
だが、今回はもう時間がない。それなのに、何を悠長なという感じ。
9月には、来期の方針は少なくとも決めなくてはならないでしょう。もう2ヶ月きった時点で、彼らの主張ってのはあくまでオーナー達と話し合わせてくれ、直接説明してくれなんだよね。彼らは、オーナー達から説明をうければ十分なんだろうか。

サラリーキャップと贅沢税の説明をしておきます。
まず、サラリーキャップを用いているNBA、NFLですが、どちらも、すべてのリーグ活動の関連収入(入場料、放映料、グッズなどすべてを含めて)の内の何割か(NBAとNFLで違うが、約5割)から選手福利厚生費を引いて、それをチーム数で割ったものが、サラリーキャップになります。
もう一度、NBAだけ書いておきます。(今月のHOOPにサラリーの特集があったため。サンクスSGM)
サラリーキャップの計算方法
NBA関連総収入×48.04%−選手福利厚生費)÷30(チーム数)=各チームのサラリーキャップ
つまり、サラリーキャップを出すには、すべての収入を把握しておく必要があるということです。
日本プロ野球みたいに、プロ野球の全収入がわからない状態で、どうやってサラリーキャップを決めるのでしょうか?もちろん、選手会と球団との話し合いってのが妥当でしょうが、帳簿を公開しない限り、チーム収入に比べ年俸が高すぎるいう問題はでてくる可能性があります。または、収入に比べ年俸が低すぎて、お金に関して夢がないリーグのできあがりという可能性もあります。サラリーキャップばかり注目されていますが、NBA、NFLともミニマム・チームサラリーをしいていることも大事です。これは、サラリーキャップの75%を選手との契約に使う必要があるというもの。これも取り入れないと、チーム間における年俸の格差もどんどん広がっていくでしょう。
はっきり言って、今のままでサラリーキャップ制度だけを決めたら、その上限を決めるのはナベツネじゃないかなと思うんですよね。
よく言われる、年俸抑制による球団経営の健全化、戦力均衡になるかは疑問です。
また、例え、経営の公開をしても、巨人の収入だけが飛びぬけている現状では、NBA方式をそのまま導入しても、実際には、サラリーキャップの限度まで払うのは巨人だけということになり、結局は巨人に有利という問題はでてきます。

さて、サラリーキャップには、ハードキャップと、ソフトキャップがあります。
ハードはNFL式の例外なく、サラリーキャップに従うというもの。ソフトキャップは、NBA式の、サラリーキャップに例外があるもの。NBAには、エセプションと言われる、サラリーキャップの例外条項があります。サラリーキャップをとれば、各チームの年俸が一定になるかといえば、そんなことはないという、いい例でしょう。もし、日本にサラリーキャップを取り入れても、結局、いろいろな例外が出てくるのではないでしょうか。ナベツネあたりによって。例外が悪いわけではなく、例外を1チームのために作るのが問題なのですがね。

では、ソフトキャップであるNBAや、サラリーキャップをとっていないMLBでは、ラグジャリータックスこと、贅沢税を導入しています。
NBAの方式をあげると、リーグ関連全収入をチーム数で割った額の61.1%が贅沢税の基準となり、チームのサラリー額が基準額を超えた場合、超えた分と同額を贅沢税としてリーグに支払わなくてはいけないというもの。この贅沢税は、サラリーキャップを超えなかったチームに均等に再分配するようになっています。
これによって、少ない予算でやりくりしているチームの選手層のレベルアップを図っています。
日本の選手会が提案したのが、この贅沢税です。
選手会が、この贅沢税を提案したのは、日本の現状を見れば妥当かなと思います。まず、チーム年俸の総計額を、選手会は知っているということ。上記にあげたように、日本では経理の公開をしていませんから、年俸の総計額を基準に、贅沢税の基準額を決めるという方法をとることもできます。
また、経営公開をした場合でも、日本の現状では、巨人の収入、そして巨人の年俸支出が飛びぬけていますから、巨人から贅沢税をとって他チームにまわすという形になると思われます。現状からしても改革の第一段階として選手会の提案を僕も支持します。
MLBでは、ヤンキースしか贅沢税を払っておらず、そしてMLBのチームの70%が赤字という現状も知っておくべきですが、まずは巨人の利益を少しでも他チームにまわすというのは、正解だと思う。
ただし、経理の透明化がないと、裏金という問題もでてくるでしょう。贅沢税を払わないために、裏金で選手に年俸を渡すということもでてくるのではないでしょうか。これは巨人もそうだが、アソコの球団とかやりそうなんだよな。
だからこそ、贅沢税を絵に描いたもちにしないためにも、贅沢税を導入するなら経理の透明化を僕は訴えている。

知っておいてほしいので何度も書いておりますが、選手会経理の透明化を訴えないのは明らかにおかしいんですよ。近鉄は経営問題で合併をすると言っているのだから、まずそれを調べるべきです。親会社の余分な赤字までふっかけている可能性もあるのですから。それをオーナー側が拒否したので、それを訴えるというならわかるんですが、選手会が訴えているのは、オーナー側と話をさせろということだけ。経理の透明化、少なくとも近鉄球団に対してだけでも、選手会は訴えていかなくてはいけないんですがね。とても、不思議な労使交渉です。
さて、贅沢税などチームが選手に支払う支出の面の説明をしましたが、NBA、NFL、MLBとも、程度の差こそあれ、リーグ全体で、以下の4つの収入を得て、それをチームに再分配してチームの収入の格差を抑えているということは忘れてはいけないと思います。
リーグの主な収入は4つからなっている。
○チケットセールス
 文字どおり各試合のチケットの売り上げで、一定のパーセンテージがリーグオフィスに支払われる。
 日本では、チームに全部がいくようになっている。
○テレビの放映権料
 ただし、NBAやMLBでは、地方テレビの放映権は各チームに直接いくようになっている。
○公式スポンサー料
 放映権とあわせての抱きこみのパターンが多い。つまり、サンヨーと契約したら、テレビのCMを流せる権利がサンヨーともてる。オールスターやプレイオフも込みのパターンが多いので、スポンサーにもメリットが多いし、また高いスポンサー料をとることもできる。
○ライセンス料
関連グッズやロゴの使用料のことで、1つの商品にたいして3〜10パーセントほどがリーグに支払われる。
去年、日本ではトラグッズが売れたが、この時、少しでもリーグにはいっていたらねと思ったもんだ。また、NPBが一括していればトラグッズと抱き合わせで、他チームのグッズを作らせるということもできるのだが。

で、
以上を、必要経費を抜いたうち、チームに再分配されるようになっている。基本的に、オールスターと日本シリーズしか収入がない日本とはえらい違いであるし、利益を再分配することによるチームの収入の格差の是正、そしてリーグが一括することで、テレビでも公式スポンサーでも抱き合わせ販売がとれるというのも魅力である。
リーグ収入に関しては、NFL>NBA>MLBの順に、リーグの規制が大きい。
MLBなどは、地方テレビ局や海外放映に関してはチーム収入になる。逆にいえば、規制の大きさは、それがリーグの人気だともいえる。
MLBは、人気がアメリカでは3番目だが、積極的にチームが日本人をとり、日本のテレビで放映することによって、日本ではアメリカ3大スポーツで抜群の人気をもっている。これは、日本でも、台湾や韓国などの放映権をチームに任せて積極的に海外進出させていくというのが、適当だと思うが、その前に、全国放送ならびにネット放送のリーグ一括化が先だと思う。だが、これは遠い将来の話なんだけどね。
チームの戦力の均等化というのも大事ですし、そのために、様々な方法を、NFLやNBAはとっていますが、まず前提として、経営面の均等化があるんですよね。これがないと、結局は逆指名だなんだと、日本プロ野球のようになる。
まずは、改革の第一歩は、経理の透明化、次に親会社からの独立化だとは思うんだが、なぜか選手会まで経理の透明化を訴えないから、よくわかりませんからパス(ふてくされ)。
親会社からの独立は、これを行うことによって正式に親会社から広告費をとることができる。広島と、近鉄が同じってのがおかしいんですよ。近鉄は、チーム名にもユニフォームにも近鉄という名前が入っている。これに関しての広告費を球団はとるべきなんだよね。
近鉄ネーミングライツ権として35億円としてあげていたが、バッファローズ球団が近鉄からネーミングライツ権料として35億円を貰えば、40億円の赤字じゃなくて、実は5億円の赤字。これなら、ノリをきれば…
近鉄はなぜ、自らネーミングライツ料を、球団に支払わないんでしょうね(嫌味)。
そして、一番大きいのは、独立することによって、経営のプロを球団にいれることができる。近鉄の山口社長みたいに、40億円の赤字があるって威張っている、経理もできないバカが社長にならなくなるのは大きいでしょう。
人それぞれの改革方法はあると思うんだが、巨人vsセリーグから、巨人vs王ダイエーをすれば
野球人気も視聴率も上がると思っているバカよりマシな方法は、素人でもいくらでも言えるってことで終了。
そのうち、実は書いていなかった、一リーグの可能性について書こうと思ってます。一リーグが是が否かの表明はしておくべきだと思うので。